7月中旬に、「クマの親子を目撃した!」という登山者が窓口へ現れました。その1週間ほど前に、森林館近くのかおりの路で、いつも檜原都民の森へ来ている方から、ニホンカモシカの親子を撮影したというので写真をいただきました。真っ黒なカモシカの親子は、遠くから見るとツキノワグマに見間違えてしまいそうです。「クマの親子を目撃した!」という登山者の話や目撃場所からも、このニホンカモシカの親子と見間違えた可能性が高いことが分かってきました。
ニホンカモシカは国の天然記念物にも指定されている、ウシ科カモシカ属に分類される日本固有の牛の仲間です。近縁種には台湾などに棲息しているタイワンカモシカというのもいます。
40~50年ほど前までは「深山に棲む幻の動物」と言われ、今でも東京都の奥多摩町にある日原や雲取山山麓付近では「カモシカ保護区域」という看板が設置されています。現在は戦後の緑化事業や、人工林を切り出した山などから生えてきた植物を食べにニホンカモシカが現れ、徐々に個体数を増やしてきたと言われています。現在では檜原村や奥多摩町だけでなく、あきる野市などでも目撃されるようになってきました。
昼間にエサを食べに行動しているニホンカモシカは、登山者による「ツキノワグマの見間違え」が多いとことでも知られ、時々間違って通報されてしまうことがあります。
(写真提供:立川市在住の方)