檜原都民の森は標高1,000メートルから1,531メートルある三頭山まで様々なハイキングコースが整備されています。山頂まで行かなくても、自分の体力に合ったハイキングコースを歩いて楽しむことができます。
森林館1階にある窓口では登山道の紹介や生き物の情報を紹介しているので、ハイキング前に立ち寄って情報収集してから出発してみましょう!
森林館のすぐ裏から続く「かおりの路」です。真下には森林セラピーロードに認定された三頭大滝まで続くヒノキのチップが撒かれた大滝の路があります。
くねくねと曲がったイタヤカエデの大木です。角度によっては渦を巻いているように見えます。イタヤカエデは老木になると、幹の中心部が空洞になりやすくなるようです。幹が空洞になる樹洞(じゅどう)ができあがると、様々な動物たちの住処になっていきます。
途中、一休憩しながら上を見上げると、ヒノキの林もなんだかキレイな景色に見えてきます。
更に木の先端を注意しながら歩いていくと、古い野鳥の巣に出会いました。「カケスの古巣」のようです。カラスの仲間のカケスは、このような小枝を集め20~30センチほどの巣を作ります。園内では良く見かけるカケスですが、子育てをしているカケスに出会うことはほとんどありません。
岩のくぼみにも野鳥の古巣がありました。「オオルリの古巣」です。
オオルリはコケだけで丁寧に巣を作り5~6月頃に4~5羽のヒナを育てあげます。こんな道脇で作るんですね!
今度は動物の糞が落ちていました。ニホンザルの糞です。今年に入ってから度々園内でサルを目撃するようになりました。糞中にはドングリ類の破片の他に、植物の破片や冬芽の破片、マタタビ科の種子が含まれていました。園内でニホンザルの糞を観るのは、開園以来初めてのことです。
かおりの路の途中でニホンジカに出会いました。ここ数年、園内でも増え始め、貴重な山野草を食べてしまうので困ってしまいます。
道脇を観ると、ニホンジカの足跡があちこちにあるのが分かります。
野鳥観察小屋まで到着しました。道下に何やら綿毛のようなものが落ちていました。
リスやムササビなどの樹上巣が古くなって落ちてきたようです。
すぐ近くには、スギの皮を剥いた跡がありました。リスやムササビなどの仲間は、巣材を集めるときにスギの皮をよく使っているのが観察されます。
野鳥観察小屋の入口には、職員がつくったコゲラやウソがお出迎えしてくれています。
かおりの路を歩き野鳥観察小屋を過ぎるとブナの路に繋がります。ブナの路の沢も、この寒さで氷はじめていました。
ここの路にはミソサザイがいつも縄張りをはっています。静かに観察していると、岩の隙間などに潜り込んで虫をくわえて出て来る様子を見せてくれます。
ブナの路を降りていくと、大滝の路に繋がります。大滝休憩小屋のすぐ近くに、「氷の花」が咲いてました。
シソ科のカメバヒキオコシの茎が凍ってさけると、そこから霜柱が出てきます。雪が積もるとだんだん姿を消していきます。観察するには午前中早い時間帯がオススメですが、この大滝休憩小屋の横はずっと寒いので、午後でも観察することができました。
大滝の路の途中に生えているイヌブナに、樹洞があいていました。良く見ると入口の皮が擦れているだけでなく、中からスギの皮でできたモモンガと思われる巣材が飛び出ていました。もしかしたらこの樹洞を使って休んでいるのかも知れません。そっと静かに遠くから見守ることにしました。
大滝の路はヒノキのチップが撒かれた平らな道で、都内で初めて森林セラピーロードとして認定を受けた遊歩道です。管理事務所では無料で電動四駆車椅子の貸出をしているので、ご利用の際はお気軽にお声かけください。
大滝の路に動物の糞が落ちていました。イタチの仲間のテンが縄張りを主張するため、目立つ場所へ糞をします。中はほとんどサルナシの種子が入っていました。この冬場でもサルナシは山の中にドライフルーツになって残っているので、テンの糞からは2月頃までよく見られます。それ以降になると動物の骨や体毛、羽毛などが糞の中に含まれ始めます。
今度はトラツグミという野鳥の右側尾羽が落ちていました。あちこちに羽が散らばっていたので、何か動物に食べらられてしまったのでしょうか。トラツグミは夏の夜中に「ヒ~、ヒ~・・・」と鳴くことから、古くは妖怪の「鵺(ぬえ)」の声と言われていました。
大滝の路は片道20~30分ほどで歩けるので、ドライブの途中に立ち寄ることができます。奥には東京都の文化財に指定された三頭大滝(みとうおおたき)があります。
皆さんも冬場の檜原都民の森で、動物たちの「落しもの」を気にしながらぜひ散策してみてください!